コロナ禍

 感染症は、キリストの時代からあるらしい。人類は繰り返し、細菌やウイルスと闘ってきたのだそうだ。

 感染症は、社会を変えるきっかけになったこともある。中世ヨーロッパでペストが大流行したあと、それまで貴族の奴隷のような立場だった農民が、権利を獲得した。ペストが世の中を変えた。

 今、コロナが世界中に拡がり、その中でなんとか経済活動を続けていかなければならない必然から、テレワークが始まった。3ヶ月あまりの間に、テレワークは部分的にせよ、定着しつつある。

 お菓子のカルビーは、7月以降も無期限でテレワークを実施すると発表した。オフィス勤務の社員は原則、テレワークとし、業務に支障が出なければ、単身赴任をやめ、家族と同居できるようにするという。定期券の交通費支給をやめ、出社した日数の交通費支給にするほか、在宅ワークで必要な経費の補助もする。

 働き方を切り替えたのは、テレワークで仕事の効率化が進んだことと、全社員の6割以上が、コロナ以前の働き方に戻りたくないという考えがあったからだという。

 テレワークが可能な人の中に、新しい生活スタイルを模索している人は多い。千葉の海辺に引っ越しをし、仕事の合間に海辺の散策、採れたての魚介を堪能と、夢の暮らしが実現したと語る人がいる。東京から北海道の実家の近くに移住し、仕事をしながらのびのびと子育てをする女性がいる。我社は日本中どこにいても入社できますと語る社長がいる。本社オフィスをコンパクトにし、事務所の賃貸料を減らした経営者がいる。コロナは深刻な禍だけれど、これによって社会が劇的に変わってきた。それはもう、感動的なほどだ。

2020年06月26日