石川県立美術館

 兼六園の近くにある。一階におしゃれなティールームがあり、休憩を兼ねて立ち寄った。

 二階が展示室になっている。

 入り口近くの小部屋に、野々村仁清の雉の香炉が二点、飾ってある。一つは国宝、もう一つは重要文化財。そういう予備知識がなくても、ひと目見ただけで、心を奪われる作品だ。美というものは、際限もなく奥が深いものだということを、つくづく感じる。この二点を見るだけでも、ここに来る価値がある。

 陶芸のコレクションも素晴らしく、ずらりと並んだ古九谷の大皿は圧巻だ。皿の全面にベッタリと絵を描く古九谷は、それまであまり好きではなかったのだが、このコレクションを見て、考えが変わった。大皿に描かれた絵柄の躍動感、力強さは、半端なものではない。強烈な輝きと気迫が、作品の底のほうから発散されていて、そのエネルギーにいつまでも触れていたくなる。

 抹茶茶碗のコレクションも名品揃いだ。奥のほうに展示されていた黒の楽茶碗が、目が離せなくなるほど魅力的だった。

2019年06月04日