鏑木商舗

 長町武家屋敷跡を散策していたら、古風な門構えのお店を見つけた。ティールームの看板が出ているので、休憩に入ったら、そこは江戸時代から続く瀬戸物屋さんだった。むろん扱っているのは、すべて九谷焼だ。千円、二千円の食器から、数十万する香炉まで、実にさまざまな九谷焼が、古い木造の建物の中に、ところ狭しと並んでいる。

 玄関で靴を脱いで上がる。六畳間、八畳間といった広さの部屋の襖をすべて取り払い、商品を並べている。昔の家の造りを、敢えてそのまま残していると思えた。

 目を引いたのは、ワイングラスの台の部分が九谷焼になっている、美しいグラス類だ。これは以前、テレビ番組が取り上げたことがあり、偶然それを見ていたので、思いがけず実物に出会えたのは嬉しかった。そしてなんと、共に旅をしている友人が、そのグラスをプレゼントしてくれたのだ。

 家に帰って飾ったら、もうひとつ欲しくなった。ネット販売もしているのだ。高価な物だから、せっせと働いてお金がたまったら買おう。

 

 

2019年06月05日