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 嫌なニュースが多いから、世の中に目を向けたくなくなった。ひどい虐待をされている幼児がいて、近所の人が通報しているのに、児童相談所は動かなかった。児童相談所が行動を起こすレベルではなかったと、所長が会見で話していた。私は悪くありませんという表情を、頑なに顔に貼り付けていた。子供は亡くなったのに、どうして後悔の表情を浮かべることができないのか。責を負う勇気もないのだ。

 高齢者ドライバーの事故が立て続けに起こるのも、なんとなく不思議だ。連鎖反応のようなものがあるのだろうか。真面目に生きてきた人が、他人の家族を奪い、自分の妻を轢き殺し、数秒のパニックのせいで自ら命を落とす。本当に悲惨だ。

 でも、よく考えれば、この事態はとっくの昔に予想できたことだったのだ。歳をとれば判断能力も反射神経も衰える。いつかは運転できなくなる。当たり前のことだ。当たり前の結末に目をつぶって、つまり嫌なことは考えないようにして、暮らしを組み立ててきた結果なのだ。

2019年06月11日