ボヘミアンラプソディ

 暮に、いつ終わるかもしれないと焦って、新宿の映画館に駆けつけた。凄い混みようで、オンラインでチケットを買っておけばよかったと後悔した。次の回のが買えて、喫茶店で時間を潰し、とにかく見ました。

 当時はクィーンにさして興味はなかったのだけれど、曲はもちろん知っているし、自分の青春時代の空気感も蘇って、気持ちが巻き込まれた。ラストのコンサートのシーンは圧巻で、テレビの宣伝では最後の20分でボロボロ泣く人がたくさんいるみたいだったが、私は泣きはしなかったけれど、もう20分これを見ていたいと、クィーンのサウンドに浸っていたいと、切に願った。

 不思議な映画だ。見終わってしばらく、曲が頭の中に充満し、一種の中毒症状に陥り、また見たくなるのだ。

 若者に混じって、中高年の人がけっこういた。フレディ・マーキュリーと同年齢かちょっと下の人達。私もその一人。

 あらためてクィーンの曲を聞いてみようと思った。振り返って、彼らの音楽を再発見した。あの熱いサウンド。熱い魂。

 年寄りの愚痴みたいに聞こえるかもしれないけれど、あれほどハートを感じられる音楽が、今の時代にはないように思える。クィーンだけじゃなく、ビートルズやローリング・ストーンズやピンク・フロイドなどなど……。

 インターネットの世の中になってから、何か貴重なものが、人々の営みからごそっと抜け落ちてしまったような……。

2019年02月12日