陶芸の電気窯の大々的なメンテナンスを行なった。炉内を入れ替え、電気系統も新しくなった。汚かった外側も、きれいに磨いてくれた。25年くらい前に購入した窯だが、新品同様になった。

 陶芸をやっていると、窯には深い思い入れが湧く。形作りも釉薬がけも絵付けも、焼成に失敗したら、すべてが無駄になる。神経を使って作り上げた物が、醜い物体になってしまう。

 焼きに成功すれば、ときには得も言われぬ色合いが陶器の肌に現れる。絵の具では絶対に表せない色が、焼成によっていくらでも作れる。

 この窯を買ったとき、それはさんざん考えた末に自分で器を焼いてみようと決めたときで、新しい恋人ができたように、心が踊った。恋人に出会うより、もっと嬉しかったかもしれない。窯は、私の夢を実現してくれる、大切なパートナーだったからだ。人は裏切るが、道具は裏切らない。その確かさが、たまらない魅力だ。

 

 

2019年02月13日