野良

 未熟児の野良ネコに餌をやり続けて、一年以上たつ。痩せて、小さくて、薄闇が漂う道を、とぼとぼとおぼつかない足取りで歩いていた。孤独な姿だった。

 今では、むっちりと肥え、冬毛のせいでさらに膨らんで見え、中年太りが始まったオバサンのようだ。ネコのために庭に置いた犬小屋で、雨宿りしたり、ご飯を待ちながらくつろいだり、こんこんと眠っていたりする。警戒心が強く、手を差し出すと怯えて後ずさりするから、見事な毛並を撫でることもできないが、私たちは勝手に名前をつけ、うちのコだと思い込んでいる。

 アメリカンショートヘアとなにかの合いの子で、黒と灰色のまだら模様はゴージャスだ。

 近所に野良ネコの避妊手術や野良の子猫の譲渡会を開いているボランティアの人がいて、この子も割安で避妊手術をしてもらった。調布市では、申請すれば、野良ネコの避妊手術の費用を上限2万円まで援助してくれる。ただし援助が受けられるのは、当該年度の手術で、この制度を知ったのは手術の翌年だったので、諦めるしかなかった。

2018年11月14日