目覚めるまで

 昨夜の豪雨が嘘のように、今朝は雲間から青空が覗いた。寝ぼけ眼で野良のマダちゃんにごはんをあげ、ふと目を上げたら、子供のカマキリがどういうわけか、家の外壁を一歩々々ゆっくりと登っていくのが目にとまった。

 白い壁に、カマキリの透き通るようなグリーンが映える。やっと幼児期を抜けたという感じの成長過程で、大人のカマキリのような汚れが体のどこにもなく、清潔感にあふれている。

 一歩登ると、体を少し揺らしてバランスをとり、それから前脚を用心深く伸ばす。右前脚を出したあと、後ろ左脚で体を押し上げ、今度は左前脚を出して体を支えながら、右後ろ脚を動かす。実に慎重なクライミングを、自分も相当なヒマ人だと呆れながら、じいっと観察していたのだ。

 早朝のひととき、庭の一角に懸命なドラマがあった。

2019年07月17日