新品同様の窯は……

 当然だけれど、買った当時のような焼成ができた。電気窯は、熱を伝えるカンタル線が長年の使用で痩せて細くなり、焼成時間が長くなってしまう。カンタル線が伸び、炉壁に収まっていたのが、はみ出してくる。線のおどりと言う。

 棚板4段で、修理する前は十時間以上かかっていたのが、半分の焼成時間で終わる。うわぐすりもよく溶けている。絵の具の上に透明釉をかけるのだが、以前はうわぐすりにちぢれが出て、めくれ上がったような部分ができたのが、きれいに付いている。釉薬の濃さを工夫したせいかもしれないが、メンテナンス前は濃さの調整をしても、1割程度は失敗が出てしまったのだ。

 窯の状態が良く、きれいに仕上がると、純粋にシアワセです。人生に悩み事は尽きないけれど、曇りのないしあわせな部分が日々の流れの中にあるというのは、本当に幸せです。

 

2019年02月16日