飴細工

 金沢の武家屋敷が残る町で、圧倒的なスケールの飴細工を見た。

 昔の薬屋の建物をそのまま記念館にし、一階には時代劇に出てくるような薬屋の店構えを展示し、二階には当時のさまざまな職業について、パネルや実際に使われていた道具類を並べて、わかりやすく解説する部屋がある。二階の一角にこの地方独特の婚礼を紹介するコーナーがあり、、水引で作った見事な結納の品や、花のれんと呼ばれる華やかな絵柄の大きな暖簾が飾られている。豪華な婚礼の道具類に目をみはり、ふと振り返ったら、縦2メートル、横3メートルはあろうかという、大きな造花が目に入った。桜か桃か、見事な枝振りに無数の花が咲いている。傍らの英語の説明文を見て、candyの文字に驚き、日本語の説明文に目を移すと、飴細工と書いてあった。

 友達としげしげ見入ってしまった。がっちりした枝も、華奢な花びらや柔らかそうな葉も、飴で作られているとはとても思えない。一見の価値のある作品だった。

2019年06月12日